「創立20周年記念誌」より Vol.4~社会参加事業
昭和60年に制作した「創立20周年記念誌」を掲載しています。
社会参加事業
相鼓連15年を振返り、子供たちに広い視野に立ち、幅広い活動を通してより大きく成長してほしいとの期待が生まれてきました。
そこで、日頃の活動を援助し、支えて下さる地域の方々への感謝をこめ、子どもたちが中心になって行動できる事業を進めていくことにしました。
今まで実施してきた隊もありましたが、類別すると大きく3 つに分けられます。
1つ目は、社会福祉施設への訪問です。日常の生活の中では、あまり縁のない場所ですが、こうした施設を訪問して、緊張した面持ちで取り組み、色々な立場でがんばる人間の姿に触れ、また1つ子供たちの視野が広がったようです。
2つ目は、お年寄りとの交流を持ったことです。ゲートボールを楽しんだり、演奏を聴いていただいたり、昔話を聴いたりしてきました。核家族化の進む中で、この交流では、多くのことを学びとり、お年寄への尊敬、思いやりの念も湧いたようです。
3つ目は、清掃活動です。公園や河原の清掃に取り組みました。この活動を通して、勤労の大切さ、協力することのすばらしさ、また公共物を大切にしていこうとする気持ちも芽生えたようです。
こうした活動を通して、子供たちの目は隊から社会へと向けられてきたと思います。これらの事業を以後続けようと確認し、努力してきました。
創立15周年を契機に取り組み始めた事業には、もう1つ、1円玉募金があります。日頃は軽視され、無視されがちな1円玉に目を向け、お金の大切さを知らせ、少しずつでもみんなが力を合わせれば大きな成果が挙げられることを隊員に知ってもらいたい。また、鼓笛活動だけでなく、社会のためにも役立とうとする心を育成し、社会教育の意義を少しでも感じとってもらいたい。この様な願いを込めて計画したものです。
各隊の練習会場にいつも募金箱(ビン)を設置し、おこづかいの中から募金するよう隊員の協力を呼びかけました。
集約時には、隊員に計算させ、前記の願いを実感させることができました。隊員は口々に、「すごいなあ。1円玉がいっぱい」「こんなに集まったの」「1円玉でも役に立つんだね」等々、つぶやきながら百枚の山にまとめていました。
こうして集約された1円玉は鼓笛まつりの会場でのお客様の募金と合わせ、福祉募金として市に寄付させていただきました。2年前より緑の基金として毎年鼓笛まつりに寄付させて頂いています。
◎社会参加事業
15周年を機に隊員たちには、自分たちを取りまく地域社会に目を向けさせていくことが大切なこととして、各隊は様々な活動を展開しました。ここに、昭和55年~昭和56年に行われた活動を紹介しておきましょう。
◎その1 (地域の美化に目をむけました)
亀寿会の方々か、早朝掃除をしていると聞き仲間に入りました。月・水・金にバスターミナル周辺を5: 30 から6:00頃までやりました。
子供たちはタバコの吸がらの多いのにビックリしていました。清掃をやりながら、お年寄りとの話もはずみ、「寒いのにごくろう様」と言われたことをとても子供達は喜んでいました。
(S.56. 2~ 桜台)
出発はハイキングにでも行くかのようにはしゃぎながら行きました。現地に着きゴミの散乱にはみんな驚いてしまいました。夏のにぎわいの名残りのゴミ、紙くず、空き缶、トタン板等いたるところにおちているのです。
その状況をみて、隊員たちは張り切り、ふだん練習している以上に真剣に取り組んでいるのが伺え、公共の場への意識が芽生えたように思いました。
(S.56. 3. 21 大沢)
◎その2 (各種の施設にうかがい交流しました)
医療少年院でのクリスマス会で、数十名の少年達と諸先生の前での演奏でした。
鼓笛鳴らして、希望行進曲、荒城の月、鹿児島おはら節、北国の春等の演奏を披露しました。
隊員たち一人一人が、他の人にも幸せを分かちあえるように成長していくことが大切と感じました。
(S.55.12.24 橋本)
施設訪問を通じて、受け入れ側の内情に対して浅い理解しかなかったのではないかという反省を持ちながら、新たに、福祉ボランティアの原点を考え直し、隊員たちの健やかな成長と広い視点を持つことを期待するようになりました。
(S.56 2.15 向陽)
9:30に着いた隊員は、待ち切れず、庭で音を出しはじめた。民謡をお年寄りと楽しむ方法としていっしょに歌っていただくことにした。おてもやんを歌うおばあちゃんは、ちょっと戸惑いがあったが、手拍手を皆さんにお願いすると、歌と演奏が合うようになった。会津磐梯山はおじいさんでしたが、テンポがおそく、合わせるのに苦労しましたが、気持ち良さそうに歌ってくれました。
(S.56. 3. 8 相原)
鼓笛の演奏を聞いていただき、さらに老人の方々の中に入っての“あやとり”“折り紙遊び”ほんのわずかなふれ合いだったかも知れませんが、とても楽しく過ごすことができました。
それは、とにもかくにも老人ホームのあたたかい歓迎の気持ちが子供達に通じ、さらに子供達のやさしい気持ちがホームの方々に理解していただけたからこそ出来たのではないかと思います。
子供たちにとって、老人の方々とのふれ合いが、これ程までに有意義なものになるとは思いませんでした。これを一つのきっかけとして交流の輪が広がる様な方向を考えていかなければならないでしょう。
(S.56. 2. 7 中和田・大野中)
隊員に障害者を理解してもらうために、園内の説明を受け、映画をみせていただきました。全身を振わせ歩行訓練に励む人、自由に動かない指でけん命に刺しゅうをする人、次々に写し出される障害の方々の生活は戦いの日々と目に写りました。隊員もじっとスクリーンを見つめておりました。いくらかの理解の上に立って演奏演技をすることができました。そして、隊員の励ましの作文とよき日々が送れることを祈りつつ、春の花束をお贈りしました。最初は「こんにちは」が精一杯の隊員も帰りには、何回も「さよなら」を交わし親しく手を振り合っていました。
(S.56. 3. 21 中央)
◎その3 (演奏会へ招待していく活動)
陽光園の生徒さんを定期渓奏会に御招待し演奏を聞いて頂きました。
発表会、洟奏会へはポスターやチケットで、おいで下さるのをお待ちする形が多いと思います。自分たちの演奏が、自分たちの満足だけに終わらず、来ていたたいた方々にも満足していただけるようにする。招待することは、さらにその意義を大きくしたと思います。
また、地域のお年寄りにも案内状をつくり、積極的に演奏活動を通しての交流をはかっている隊もあります。